小さくなる式
昔の日本の結婚式といえば、大きなホテルの会場に百人近くを招くのが普通でした。 会社の上司、取引先の人、親戚、近所の人。 新郎新婦が名前を知らない客が何人も座っている、ということも珍しくなかったそうです。
ところが、この二十年ほどで、招待客の数は大きく減りました。 今は三十人から五十人ほどの式が増えていて、家族と親しい友人だけで行う式を選ぶ人も多くなっています。 費用も、以前より抑えられるようになりました。
同じ変化は、葬式にも起きています。 かつては、故人の会社関係の人や近所の人まで集まる大きな葬式が一般的でした。 けれども今は、家族と親しい人だけで行う「家族葬」が広く選ばれるようになりました。 小規模なので、費用も一般的な葬式の半分ほどで済むと言われています。
理由の一つは、もちろんお金です。 式を開く側の費用も、ご祝儀や香典を持って行く側の負担も、決して軽くはありません。
けれども、それだけではないようです。 家族葬を選んだ人からは、「安いから」ではなく「最後に静かに見送りたかったから」という声がよく聞かれるそうです。 結婚式でも、「一人一人と話せる式にしたかった」と言う人が増えています。
百人の披露宴では、新郎新婦は挨拶をして回るだけで時間が終わってしまいます。 三十人の式なら、全員の席に座って、ゆっくり話すことができるわけです。
式は小さくなりました。 けれども、小さくなったのは規模と費用であって、人が集まる理由のほうではないのかもしれません。
