少しとすごく
ゆうたの髪は長かった。 土曜日の朝、駅の南口の床屋に行った。 中では、おじさんが新聞を読んでいた。
「髪を切ってください。短く、少しだけ」とゆうたが言った。
床屋のおじさんは七十五歳で、耳があまり聞こえない。 「はい、すごく、ですね。」
十五分後、ゆうたは鏡を見た。 頭がとても短い。 耳が全部見えた。
「おじさん、少し、って言いましたよ。」
「え、すごく、じゃなかったんですか。」
ゆうたは大きい声で言った。 「次は、す・こ・し!」
おじさんは笑って、はさみを置いた。 「はい、すごく、ですね。」
