和尚さんと小僧(一の一)
大そうけちんぼな和尚さんがありました。 何かよそからもらっても、いつでも自分一人でばかり食べて、小僧には一つもくれませんでした。 小僧はそれをくやしがって、いつかすきを見つけて、和尚さんから、おいしいものを召し上げてやろうと考えていました。
ある日和尚さんは檀家から、大そうおいしいあめをもらいました。 和尚さんはそのあめをつぼの中に入れて、そっと仏壇の下にかくして、ないしょで独りでなめていました。
ところがある日、和尚さんは、用事があって外へ出て行きました。 出て行きがけに、和尚さんは小僧にいいつけて、
「この仏壇の下のつぼには、だいじなものが入っている。見かけはあめのようだけれど、ほんとうは、一口でもなめたら、ころりとまいってしまうひどい毒薬だ。命が惜しいと思ったら、けっしてなめてはならないぞ。」
といい置いて、出て行きました。
和尚さんが出てしまうと、小僧はさっそくつぼを引きずり出して、残らずあめをなめてしまいました。 それから和尚さんの大切にしている茶わんを、わざと真っ二つに割って、自分は布団をかぶって、うんうんうなりながら、いまにも死にかけているようなふりをしていました。
