森で一番の場所
森の中で、きつねとからすが、いい場所を見つけて、自慢し合っていた。
「僕の見つけた木の下は、風が当たらない。森で一番の場所さ」ときつねが言った。
「ふん。僕の木の上のほうが、ずっといいよ。ここからは、遠くまで見える。敵が来ても、すぐ分かる」とからすが言った。
二匹は、どちらの場所が上かで、競り始めた。
「日当たりなら、僕の場所の勝ちだ」ときつねが言う。
「静かさなら、こっちだ」とからすが言う。
勝負は、なかなかつかない。 場所の良し悪しは、結局、何を大事にするかによる。 それでも、二匹は一歩も引かなかった。
「もう決めよう。この森で、僕の場所以外に、いい寝床なんてない」ときつねが言い切った。
「いや、僕の場所こそ、森で最高だ」とからすも負けていない。
そのとき、下のほうから、大きな足音が聞こえてきた。 人間が二人、森に入ってきたのだ。 一人が、きつねの木を指さして言った。
「この木、切って持って帰ろう。」
更に、もう一人が上を見上げて言った。
「あっちの木も、いい枝だ。両方もらおう。」
きつねとからすは、顔を見合わせた。 一番いい場所というのは、どうやら、人間にとっても同じだったらしい。
