春山秋山(一の三)
いよいよ女神の家の前まで来ますと、着物から靴から弓矢まで、残らず一度にぱっと紫色の藤の花が咲き出して、それは絵にかいたような美しい姿になりました。 それから弟の神は、藤の花の咲いた弓矢を少女の居間の戸の前にたてかけておきますと、少女が出がけにそれを見つけて、ふしぎに思いながら、きれいなものですから、つい手に持って出ようとしました。 そのとき弟の神はすかさずそのあとについて行って、「あなた、どうぞわたしのお嫁になって下さい。」といいました。
少女はびっくりして、ふと自分に物をいいかけたものの方をふり向きますと、そこに目もくらむように美しい花に飾られた若い男神が、気高い姿をして立っていました。 少女はすぐ男神のお嫁になりました。 やがて二人の間には子供が一人生まれました。
