浦島太郎(三の一)
毎日おもしろい、めずらしいことが、それからそれとつづいて、あまりりゅう宮がたのしいので、なんということもおもわずに、うかうかあそんでくらすうち、三年の月日がたちました。
三年めの春になったとき、浦島はときどき、ひさしくわすれていたふるさとの夢を見るようになりました。 春の日のぽかぽかあたっている水の江の浜べで、りょうしたちがげんきよく舟うたをうたいながら、網をひいたり舟をこいだりしているところを、まざまざと夢に見るようになりました。 浦島はいまさらのように、
「おとうさんや、おかあさんは、いまごろどうしておいでになるだろう」
と、こうおもい出すと、もう、いても立ってもいられなくなるような気がしました。 なんでも早くうちへ帰りたいとばかりおもうようになりました。 ですから、もうこのごろでは、歌をきいても、踊りを見ても、おもしろくない顔をして、ふさぎこんでばかりいました。
その様子を見ると、乙姫さまは心配して、
「浦島さん、ご気分でもおわるいのですか」
とおききになりました。 浦島はもじもじしながら、
「いいえ、そうではありません。じつはうちへ帰りたくなったものですから」
といいますと、乙姫さまはきゅうに、たいそうがっかりした様子をなさいました。
