一番小さい写真
写真家:今日は来てくださって、ありがとうございます。ここにある写真は、全部この町で撮ったものです。何でも聞いてください。
見学者の男性:あの、この一枚は、朝ですか、夕方ですか。空の色が不思議ですね。
写真家:よく気づきましたね。これは朝の七時ごろです。冬の朝の空は、こんなふうにピンクに見えることがあるんですよ。
見学者の女性:一枚撮るのに、どのくらい待つんですか。
写真家:これは三十分ぐらいですね。一番長かったのは、去年の雪の日で、三時間待ちました。
見学者の女の子:三時間!寒かったみたいですね。
写真家:寒かったですよ。でも、待っている時間も楽しんでいます。
見学者の男性:どの作品が一番お好きですか。
写真家:うーん、難しい質問ですね。……入り口の近くの、犬の写真です。
見学者の女性:あの小さい写真ですか。暗いところにあるから、気づきませんでした。
写真家:そうなんです。あれだけは、私が撮ったのではありません。娘が七歳のときに撮った作品です。今日、一枚だけ紹介させてもらいました。皆さんの感想も、そこのノートに書いていってくださいね。
