瘤とり(一の三)
踊りがすむたんびに、ひんながぱちぱち手をたたいて、
「よいよい。」とはやしました。
おかしらの鬼はその時、さもゆかいそうに高笑いをして、「あッは、あッは。おもしろい、おもしろい。今夜のようなゆかいな宴会ははじめてだ。だがついでにだれか、もっとめずらしい踊りを踊って見せる者はないか。」といいました。
おじいさんはさっきから、木のうろの中で体をこごめながら、それでもこわいもの見たさに、首だけのばして外の様子をのぞいていました。 そのうちに、いったいがひょうきんなおじいさんのことですから、いつかこわいのも何も忘れてしまって、見世物でも見ている気で、おもしろがって鬼の踊りを見物していました。 するうちに自分もだんだん浮かれ出してきて、今のおかしらの鬼のいったことばが耳に入ると、自分もひとつ飛び出して、踊りを踊ってみたくなりました。
しかしうっかり飛び出していって、一口にあんぐりやられては大へんだと一度は思い返して、一生懸命がまんしていましたが、そのうち鬼どもがおもしろそうに手をたたいて、拍子をとり出しますと、もうたまらなくなって、「ええ、かまうものか。出て踊ってやれ。食われて死んだらそれまでだ。」とすっかり度胸をきめて、腰にきこりの斧をさして、烏帽子をずるずるに鼻の頭までかぶったまま、「よう、こりゃこりゃ。」といいながら、ひょっこりおかしらの鬼の鼻先へ飛び出しました。
あんまり出し抜けだものですから、こんどはおじいさんよりは、鬼の方がびっくりしてしまいました。
「何だ。何だ。」 「人間のじじいじゃないか。」といいながら、みんなはそう立ちになって騒ぎました。
