金の輪(二の二)
「いったい、だれだろう。」と、太郎はふしぎに思えてなりませんでした。 今まで一ども見たことがない少年だけれど、なんとなくいちばんしたしい友だちのような気がしてならなかったのです。
あしたばかりは、ものをいってお友だちになろうと、いろいろ空想をえがきました。 やがて、西の空が赤くなって、日暮れがたになりましたから、太郎は家の中にはいりました。
その晩、太郎は母親にむかって、二日もおなじ時刻に、金の輪をまわして走っている少年のことを語りました。 母親は信じませんでした。
太郎は、少年と友だちになって、自分は少年から金の輪を一つわけてもらって、往来の上をふたりでどこまでも走って行く夢を見ました。 そして、いつしかふたりは、赤い夕やけ空の中にはいってしまった夢をみました。
あくる日から、太郎はまた熱が出ました。 そして、二三日めに七つでなくなりました。
