お土産の気遣い
日本の会社で働くと、ある日突然、机の上にお菓子が置かれていることがある。 「旅行のお土産です。どうぞ」と書いた、小さな紙と一緒に。 これは、同僚が休みに旅行へ行って、帰ってきたしるしだ。
日本では、旅行や帰省から戻ると、職場の人にお土産を配る習慣がある。 多くの場合、その土地で有名なお菓子だ。 北海道なら白いお菓子、大阪なら有名なたこ焼きの形のお菓子、というように、地方ごとに定番の品がある。 一つずつ包んであるものが多いのは、一人ずつ配りやすくするためだ。
なぜ、わざわざお土産を配るのだろうか。 一つの理由は、気遣いだ。 自分が休んでいる間、ほかの人が代わりに仕事をしてくれたかもしれない。 「休ませてもらって、ありがとう」という気持ちを、お土産で伝えるのだ。 だから、お土産は高い物でなくてもいい。 大事なのは、値段ではなく、相手のことを考える気持ちのほうだ。
配り方にも、ちょっとしたコツがある。 まず、休みが終わって会社に行ったら、朝のうちにお土産を配っておくといい。 昼になってお腹がすいたころに、みんなが食べられるようにするためだ。 配るときは、一人ひとりに手渡ししながら、「これ、京都のお土産です」と一言そえると、感じがいい。 もし相手が席にいなければ、机の上に置いておく。 そのときも、さっきの紙のように、一言メモを付けておくと親切だ。
外国から来た人は、この習慣を少し面倒に感じるかもしれない。 実際、日本人の中にも、「毎回お土産を買うのは大変だ」と思っている人もいるようだ。 それでも、この習慣がなくならないのは、そこに小さな温かさがあるからだろう。
旅行先で、同僚の顔を思い浮かべながらお土産を選ぶ。 その時間そのものが、もう一つのお土産なのかもしれない。
