上手な断り方
金曜日の夜、ゆかのスマホにメッセージが届いた。 みほからだった。
「明日、みんなで海に行くんだけど、ゆかも来ない?」
ゆかは、しばらく画面を見つめていた。 本当は、行きたかった。 でも、明日は母の病院に付き添わなければならない。 前から決まっていた予定だった。
どう返事をすればいいか、ゆかは何度も書いては消した。 「ごめん、行けない」だけでは、冷たく見えてしまう気がした。
少し考えてから、ゆかは書いた。
「誘ってくれてありがとう! すごく行きたいんだけど、明日は母の用事があって……。本当に残念」
すぐに返事が来た。
「そっか、都合悪いか。残念だなあ。でも、お母さんのことなら仕方ないよ」
ゆかはほっとした。 みほは、怒っているようではなかった。
「今度、埋め合わせするね。ゆかの好きなカフェ、行こう」とみほは続けた。
「うん、絶対! 楽しみにしてる」
ゆかはスマホを置いて、少し笑った。 断るのは、いつも少し怖い。 でも、ちゃんと気持ちを伝えれば、相手は分かってくれる。
明日は病院、来週はカフェ。 そう思うと、なんだか温かい気持ちになった。
