桃太郎(二の二)
「ほう、それはいさましいことだ。じゃあ行っておいで。」
とおじいさんは言いました。
「まあ、そんな遠方へ行くのでは、さぞおなかがおすきだろう。よしよし、おべんとうをこしらえて上げましょう。」
とおばあさんも言いました。
そこで、おじいさんとおばあさんは、お庭のまん中に、えんやら、えんやら、大きな臼を持ち出して、おじいさんがきねを取ると、おばあさんはこねどりをして、
「ぺんたらこっこ、ぺんたらこっこ。ぺんたらこっこ、ぺんたらこっこ。」
と、おべんとうのきびだんごをつきはじめました。
きびだんごがうまそうにでき上がると、桃太郎のしたくもすっかりでき上がりました。
桃太郎はお侍の着るような陣羽織を着て、刀を腰にさして、きびだんごの袋をぶら下げました。そして桃の絵のかいてある軍扇を手に持って、
「ではおとうさん、おかあさん、行ってまいります。」
と言って、ていねいに頭を下げました。
「じゃあ、りっぱに鬼を退治してくるがいい。」
とおじいさんは言いました。
「気をつけて、けがをしないようにおしよ。」
とおばあさんも言いました。
「なに、大丈夫です、日本一のきびだんごを持っているから。」と桃太郎は言って、
「では、ごきげんよう。」
と元気な声をのこして、出ていきました。おじいさんとおばあさんは、門の外に立って、いつまでも、いつまでも見送っていました。
