みけと段ボール
朝からうちの人が、部屋で大きい段ボールを組み立てている。 テープを切りながら、小さい声で歌っている。 ぼくは知っている。 あれは、ぼくのための箱だ。
本の箱が開いたら、ぼくはすぐ中に入った。 うちの人はぼくを持ち上げて、床に置いた。 「みけ、邪魔」
服の箱が開いたら、ぼくはまた入った。 セーターの上は温かい。 うちの人はぼくを持ち上げて、また床に置いた。 「みけ、本当に邪魔」
台所の箱が開いたら、今度は先に隠れてから待った。 新聞紙の下でじっとしていたら、皿を入れる時に見つかった。 「みけ!」
夕方、荷物は全部箱に入って、箱は全部閉まってしまった。 もう入る所がない。 明日、ぼくたちはこの部屋を出るらしい。 ぼくは窓のそばで、しっぽを動かしながら見ていた。
うちの人は最後に、何も入っていない箱を一つ、ぼくの前に置いた。 テープは貼らなかった。
ぼくは入った。
