金太郎(一の三)
と言って手をたたきました。 とうとういちばんおしまいに金太郎が土俵のまん中につっ立って、
「さあ、みんなかかって来い。」
と言いながら、大手をひろげました。 そこでうさぎと、猿と、鹿と、いちばんおしまいに熊がかかっていきましたが、片っぱしからころころ、ころがされてしまいました。
「何だ。弱虫だなあ。みんないっぺんにかかって来い。」
と金太郎が言いますと、くやしがってうさぎが足を持つやら猿が首に手をかけるやら、大さわぎになりました。 そして鹿が腰を押して熊が胸に組みついて、みんな総がかりでうんうんいって、金太郎を倒そうとしましたが、どうしても倒すことができませんでした。 金太郎はおしまいにじれったくなって、からだを一振りうんと振りますと、うさぎも猿も鹿も熊もみんないっぺんにごろごろ、ごろごろ土俵の外にころげ出してしまいました。
「ああ、いたい。ああ、いたい。」
とみんな口々に言って、腰をさすったり、肩をもんだりしていました。 金太郎は、
「さあ、おれにまけてかわいそうだから、みんなに分けてやろう。」
と言って、うさぎと猿と鹿と熊をまわりにぐるりに並ばせて、自分がまん中に座って、おむすびを分けてみんなで食べました。 しばらくすると金太郎は、
「ああ、うまかった。さあ、もう帰ろう。」
と言って、またみんなを連れて帰っていきました。
