今日から班長です
(十月の日曜、朝七時半。町内の集会所の前に、ほうきとごみ袋が置いてある。) 修一:おはようございます。今日から班長をやらせていただく修一です。えー、まず段取りをご説明しますと、七時四十五分から九時まで、三つの班に分かれて、公園の前の通りから順に落ち葉を集めていただく形になります。 久美子:はい。 修一:それで、集めた落ち葉は、この大きい袋に入れてもらって、集会所の裏に置いておいてください。袋は一班に五枚ずつお渡しします。 久美子:五枚じゃ足りないわ。 修一:え。 久美子:銀杏の通りだけで、去年は十二枚使ったから。 修一:……十二。 久美子:それと、その順番は見当違いね。公園の前からだと、風が向かい側に吹くのよ。集めたそばから道に戻っちゃう。奥の駐車場のほうから始めて、風下に寄せていったほうが早いわ。 修一:あ……なるほど。じゃあ、駐車場から。 久美子:ええ。九時までって言ってたけど、八時半には終わるから。 修一:終わりますか。 久美子:終わるわよ。みんな慣れてるもの。 修一:ええと、では、休憩は八時十五分ごろに。 久美子:休憩はいらないわ。四十五分で終わる仕事に休憩を入れると、かえって長くなるの。 修一:……袋は、あと何枚出せばいいですか。 久美子:十枚出しておいて。多い分には困らないから。 修一:分かりました。 久美子:あなた、去年は来てなかったでしょ。 修一:はい。四月に引っ越してきたので。 久美子:じゃあ、今日は横で見てればいいわ。順番は私が言ってあげるから、手際はそのうち覚えるでしょ。 修一:……あの、久美子さん。この班長、どうして僕になったんでしょうか。
