お届け済み
(夜九時。直子から亮太に電話がかかってきた。)
直子:ちょっと、亮太。オークションのことで聞きたいんだけど。
亮太:ん、どうした。
直子:先週オークションで落札した商品が、まだ届かないの。サイトを見たら、「お届け済み」になってる。
亮太:置き配じゃない? 玄関の前に置いていくやつ。
直子:うん、たしかにそう書いてある。でも玄関には何もないよ。二回見た。
亮太:写真、載ってない? 置き配って、置いたところの写真が残るんだよ。
直子:あ、ある。……ちょっと待って。これ、私の玄関じゃない。
亮太:え?
直子:マットの色が青い。うちのは灰色。
亮太:ドアの番号、写ってる?
直子:えっと……二〇五。うちは二〇三。
亮太:それ、隣のさらに隣だ。たまにあるらしいよ、部屋の番号の間違い。
直子:どうしよう。勝手に持っていったら、まずいよね。
亮太:まずくないって。自分のだから。行ってみて、部屋の人がいたら事情を話せばいい。
直子:サイトに連絡したほうがいいのかな。
亮太:その前に確認しよう。ちょっと見てきて。
直子:うん。切らないで待ってて。
(三分後。)
直子:あった。ドアの横に置いてあった。二〇五の人、留守だったみたい。
亮太:よかったな。
直子:明日、お菓子でも持っていく。
亮太:で、そんなに心配してたアイテムって、結局何なの。
直子:お母さんの誕生日のプレゼント。湯のみ。九百円で落とせた。
亮太:……九百円。
直子:安いでしょ。亮太は何あげるの。
亮太:……そのオークション、あとで教えて。
