文福茶がま(二の四)
そのうちにくず屋は、「こうやって文福茶がまのおかげでいつまでもお金もうけをしていても際限のないことだから、ここらで休ませてやりましょう。」と考えました。 そこである日文福茶がまを呼んで、「お前をこれまで随分働かせるだけ働かして、おかげでわたしも大したお金持ちになった。 人間の欲には限りがないといいながら、そうそう欲ばるのは悪いことだから、今日限りお前を見世物に出すことはやめて、もとのとおり茂林寺に納めることにしよう。 その代わりこんどは和尚さんに頼んで、ただの茶がまのようにいろりにかけて、火あぶりになんぞしないようにして、大切にお寺の宝物にして、錦の布団にのせて、しごく安楽な御隠居の身分にして上げるがどうだね。」
こう言いますと、文福茶がまは、「そうですね。わたしもくたびれましたから、ここらで少し休ませてもらいましょうか。」
と言いました。
そこでくず屋は文福茶がまに、見世物でもうけたお金を半分そえて、茂林寺の和尚さんの所へ持って行きました。
和尚さんは、「ほい、ほい、それは奇特な。」と言いながら、茶がまとお金を受け取りました。
文福茶がまもそれなりくたびれて寝込んででもしまったのか、それからは別段手足が生えて踊り出すというようなこともなく、このお寺の宝物になって、今日まで伝わっているそうです。
